2017年10月18日水曜日

カゴ・メン2


もやい工藝を通じて修繕を依頼していた沢グルミ樹皮のコンテナカゴが戻ってきた。最初の発注時、常用レンズを装着したデジタルライカ とchahatオリジナル弁当箱が寸分の隙間なく収まるようにサイズを指定。移動中に揺れ動くと困る日用品を安心して運べるよう特注をお願いした。これらと本、小物を入れるとそれなりの重量になるため、重さが体感的に軽減されるよう武骨な短いハンドルを沢グルミで付けてもらった。ところがこの素材、強靭だが柔軟性はない。そのためバイクのボックスにハンドルを強引に曲げるようにして収納しているうちに裂けてしまった。自分の詰めの甘さ、思慮の欠落を悔いつつ、もやい工藝店主・久野民樹さんに相談。編み手の秋田・角館、佐藤智香さんに改良案を考えてもらい、山ブドウの皮なら可動式のハンドルがつくれると提案され、修繕を頼んだ。


早速、第2世代のコンテナカゴを通勤に使う。精密機械のカメラと、汁をこぼしたくない弁当箱を運搬するには、やっぱりこれじゃないと駄目なのだ。ハンドルが畳めるから使い勝手はさらに向上。バイクのボックスもスムーズに収まるし、仕事場の引き出しにも仕舞えて床に直置きしなくてもよくなった。修繕してずっと愛用していきたいと思うのは、手仕事良品ならでは。使いこむにつれ、風合いはどんどん佳くなっていくのも悦びだ。この二重式のリングでハンドルを留める仕様は強度が高まるものの、制作に手間がかかり、職人ががなかなかやりたがらない。恩師・久野恵一さんは30年以上前、秋田・横手の中川原信一さんの父親で、技術がきわめて高い工人・十郎さんに自分用のアケビ蔓・手提げカゴを注文する際、この二重リング式を無理いって頼んでいた。その逸品については『民藝の教科書④かごとざる』(グラフィック社)参照を。


もやい工藝に受け取りに行ったとき、偶然、友人Tさんとばったり。彼もカゴの愛用者。中川原信一さんのカゴの大ぶりなフォルムがユーザーの風情にマッチ。男だって気軽にカゴを常用していきたいと考える同志なのだ。


骨董市で見つけたというアクセサリーをハンドルにぶら下げている。この赤いワンポイントがとてもいい感じ。真似しよう。

LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH. f/1.4
SIGMA DP3 MERRILL 75mm f/2.8