2017年10月15日日曜日

寅さんの雪駄


毎週土曜夕方から放映されているBSジャパンの『男はつらいよ』シリーズ。柴又を訪ねたあと改めて観ると映画への没入感がすごい。京成柴又駅、だんご屋のある参道、帝釈天。映像の細部に見入ってしまう。自分の眼で観た現場、歩いて体感した町全体のスケール。体に残る感覚・記憶との共通点を探し見つけながらの鑑賞がたまらなく愉しい。これから全話を見直してみたいし、何度観ても新たな発見がある山田洋次監督の創作に敬服。

先日の取材では寅さんが履いていた雪駄の話も聞いた。ニシキヘビの鼻緒の雪駄を季節を問わず履いていた。雪駄は雪の上を歩くために生まれた履物。裏になめし革を貼り、金属の鋲を留め、長持ちする工夫を凝らしている。簡素なかたちと高い機能。寅さんの旅を支える重要な道具になっていることもあり、このシューズが欲しくなってしまった。


寅さん記念館」の入り口には、看板を掛けようとした寅さんが落とした右足の雪駄が置かれている。左足の雪駄は落とさなかったことから、駅前に設置された銅像の左足の雪駄を撫でると試験に「落ちない」という都市伝説が生まれた。


雪駄は小さいサイズを履き、かかとを雪駄からはみ出させるのが粋だとしていた寅さん。こんな細かなキャラクター設定もマニア心をくすぐる。監督の映像の造りこみも、映画に普遍性を与える秘密なのだろう。寅さんの洒落心も真似てみたい。

LEICA M-E , ELMARIT28mm 4th EDITION f/2.8
SUMMILUX50mm ASPH. f/1.4