2017年7月23日日曜日

20TH CENTURY WOMEN


僕は鎌倉の古書店「ウサギノフクシュウ」店主小栗さんの選択眼と文章を敬愛している。そんな小栗さんが、珍しく二回も観たという映画について抑制を効かせつつ、核心をとらえて呟いていた。コメントに惹かれ、居ても立ってもいられなくなって、身近な映画館では公開終了が迫る前日、『20センチュリーウーマン』を駆けこむように鑑賞。カリフォルニア州サンタバーバラの光と乾いた空気、奥行きのあるストーリーと演技、映像、素晴らしいキャスティング、インテリアから衣装、スタイリングの洗練、音楽すべてに強い感銘を受け、監督の知性と美意識に心酔した。とにかく美しく、格好いい。僕にはそんな陳腐な表現しかできないけれど、今のところマイベスト・ムービーに出逢えた。見逃さなくて、よかった。小栗さんに深謝である。僕と同世代のマイク・ミルズという才能を、リアルタイムで見知ることができる。その多幸感がじわじわと今なお湧き上がってきている。


適切なたとえではないかもしれないけれど、湘南の風土を愛でる人、葉山「SUNSHINE+CLOUD」高須さんや、鎌倉「LONG TRACK FOODS」馬詰さんが提示する、カジュアルで品の佳く、心地いいスタイルを好む人は、きっと大好きになる映画ではないだろうか。世界観に通じるものを感じたから、そう思う。小野英作さんがアートディレクションしたパンフレットもじつに気が利いている。サウンドトラックをiTunesでダウンロードして聴きながら、帰りの電車で読みふけった。至福の余韻に浸りながら。これから、この映画の一つ一つの場面が僕の日常でフラッシュバックし、小栗さんの言葉同様、強く影響を受け続けることになるのだろうなぁ。

小栗さんの映画と本にまつわる文章が定期的に読めるようになるのも、たまらなく嬉しい。
One movie , One book

LEICA M-E , MACRO ELMAR90mm f/4
映画に登場するフォトグラファー・アビーの、部屋での物撮りライティングを真似て