2017年6月19日月曜日

家の前の美術館


家から県立近代美術館までゆっくり歩いて2分。この美術館の存在が、今の土地に移住するいちばんの決め手となった。思い立ったらアート展示をすぐに観に行ける。そして美しい作品と向き合った感銘を心に留めたまま、日常に戻り、住空間で余韻に浸れる。アートがこれ以上は望むべくもないほど身近な環境が嬉しい。イサムノグチの彫刻がある中庭から家の裏山を仰ぎ見るたびに、そして海を見下ろすたびに、山と海が迫り、その境界に美術館が立つという、稀有なところに自分は暮らせているのだと感慨がこみ上げてくる。


ビッキ展の最終週末に滑りこむ。ギリギリまで足を運ばなかったのは、いつでも観に行けるという油断があったのかもしれない。大胆でプリミティブな木彫作品。そのおおらかな造形が自分の眼にはとても心地いい。見逃さなくてよかった。


家に戻って、陽が沈むのを待って、トワイライトタイムに美術館前に広がるビーチへ。何の前ぶれもなく、空が劇的なピンク色に染まっていた。まるでビッキの木霊が現出した、幻想的な光と色。波打ち際にはビッキの木彫みたいな木が打ちあがっていた。

LEICA M-E , ELMARIT28mm 4th EDITION f/2.8