2017年4月14日金曜日

昼の鍛錬


築地でのお昼。外食時にはライカを携えていく。自分がおいしいと思う料理をスナップしたいから。基本は店主、店員にことわる。近ごろは、勝手にスマフォで撮る人が多いから、伺いをたてると、意外そうに「あっ、どうぞ」と返事が返ってくる。そこで、すかさず席を立ち、テーブルからやや離れ、ライカでじっくりピントを合わせる。その動きに店員やまわりの客が反応。何事かとたいていは驚かれます。しかし、勇気を絞って、気恥ずかしさを振り払い、料理のポートレイトをおさめるのです。その大仰なアクションから変わり者の気配を感得するのか、話しかけてくる店主もいるし、ときには仲よくなることも。それで調子に乗って、店主に顔を撮らせてと踏みこむと、困惑の表情が浮かぶ。OKの確率は50%ぐらいだろうか。相手の都合だから、断られたら諦めるしかない。それでも、めげずにぼくは、魅力的な店主に出会うと、声を掛けずにはいられない。先日は築地場外の「喫茶マコ」にて、ときどき鏡をみて髪を整える、きれいな身なりをした店主が働く情景に惹かれて、許可を得てスナップさせてもらいました。


背筋がぴんとしたたたずまい、気風のよいキャラクター。凛とした表情で珈琲を淹れる一連の動きは驚くほど素早い。あまりの速さに、フォーカスが間に合わないほど、慌てて、ちょっとブレてしまいました。許可を得て撮影する。場の雰囲気をつかみ、何をどう撮るべきか瞬時に判断する。昼どきのスナップは、見知らぬ町をさまよい歩き、ガイドブックやマップを制作する自分の業務にそのまま活かせる、大事な鍛錬なのです。

※築地場外の公式HPには営業が10時半からとなっていますが、現在は11時から店を開いているそうです。

LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH. f / 1.4