2016年11月23日水曜日

上野のロバート・フランク



友人である藝大卒・現代アーティスト・カリコミさんのナヴィゲーションでロバート・フランク展を観に行きました。会場となった藝大・陳列館まで黄葉の絨毯を歩く。スケールが大きく、詩的な美しさに満ちたこの情景はどこかヨーロッパ的。さすがアートの森。






和洋折衷、欧風スタイルの重厚な建物の佇まいがいい。会場に入る前から気分も「高揚」します。


なんと入場無料、展示物の撮影OK。休日は門まで入場待ちの行列が連なるそうです。


設営は藝大の学生が行なったそうです。斬新で想像力に富んだ展示手法に感嘆し、熱を帯びた場の空気に触れ、陶酔。とても刺激を受け、同時に入場者に顕著な若い年齢層の比率にわけもなく嬉しくなる。写真と出版文化への関心の高さに、希望と元気をもらう。ぼくも頑張らなくちゃ!


この解説文の見せ方もいいなぁとスナップ・メモ。


写真だけでなく、映像作品もふんだんに映写。


紙面の一部に映すものもあれば、壁一面に大きく映し出す作品も。スティル、ムービーの枠にとらわれない自由な創造。そんな多彩な才能をぼくはこの日まで知りませんでした。それにしても、カリコミさん、いつも写欲をそそられる絶妙なポジションにいてくれる。じつに「絵になる男」なのです。


物好きとしては、小サイズの映像はどんな機器で映写されているのか気になります。QUMIのモバイル・プロジェクター。手軽なホームシアターを夢みて欲しくなってしまいます。


手描きのラフな文字もまた勢いがある。日本のお堅い美術館にはたぶんできない試み。いろいろな示唆をふくんでいる。


写真はあえてラフな感じでプリントされ、その近くには写真作品を掲載するのは、シュタイデル社のどの写真集なのかわかる、写真と本が寄り添う展示。


コンタクトシートや写真集制作過程のメモ、ラフプランも公開されていて、本づくりへの関心が自ずと引き出されます。


個人的には、過去に見た写真家の展示では、手法、内容ともベストと感じました。終始、親しみを持って作品を眺め、表現と本づくりへの情念が強く伝わってきます。


深い余韻に包まれ、校内で休憩。


緑豊かなのはもちろん、その植生がいい。審美の目が隅々まで行き届いている。


「ヤァ、どうも!」とカリコミさんに声をかけてくれる、大浦食堂の店長、北澤さんとカリコミさんを記念写真。彼が卒業して随分経つのに、忘れていないんだね。いい学校だなぁ。ぼくも藝大で学びたかった。


余韻を留めたまま、夕暮れの街へ。しっとりと暮れなずむ上野公園の暗がりと、きらめくアメ横とのコントラストが劇的。上野、いいところだなぁ。


藝大生が贔屓にする庶民的な店めぐり。まずは居酒屋「大統領」で酒杯を楽しく重ねる。


たくさんおしゃべりした後は、ほろ酔い気分で中華料理「昇龍」へ移動。締めのジャンボ餃子をライスと一緒にいただきます。満腹、至福。


さらに店名は失念しましたが、激安大盛りのカレー店を覗く。「ここもいっちゃう?」とカリコミさん。学生のころ、よく食べていた一軒だそうです。いやいや、もうと固辞して帰途につきました。時間にしたら数時間なのですが、ものすごく濃密に上野の良さを体験できました。カリコミさんに深謝! また飲みましょうね

LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH. / F4