2016年8月25日木曜日

窓の花



20数年前、葉山に移住したてのころ、センスのよい地元の人に教えてもらった雑貨店がありました。海辺の住宅でひっそりと営まれる一軒。平穏無事な美しい日用品やアフリカの布など並ぶのは女性店主の洗練を映し出すものばかり。さすが洒脱な地域と感心。そんな街での暮らしがはじまることに心躍ったものです。店を畳んだ後も窓に飾られ続ける花の景色が往時の記憶を忍ばせ、嬉しくもあり、せつなくもあり。店をしていた時「変わった花があって、おもしろい花屋なのよ」と飄々と店主が褒めていた逗子「Dande Lion」のフラワーコーディネイトなのかな。大胆にしてアーティスティック。こんなディスプレイ、銀座の一流店でも見たことがない。まるでパリの街角みたい。スポットライトで独特の雰囲気が柔らかく浮かび上がるさまを、ときどき東京から家に帰る途中で眺めては心安らぎつつ、移住当時の高揚感を述懐しています。

LEICA M-E , SUMMILUX50mm/f1.4 ASPH.