2017年5月25日木曜日

エルメス×ポスタルコ


銀座のメゾンエルメスにて、ポスタルコのプロダクトデザイナー、マイク・エーブルソンさんによるウインドウ・ディスプレイ「Tool Roots」が7月11日まで観られる。SNSでも話題になっているから、偶然の通行人のみならず、鑑賞目的で訪れる人もきっと多い。


道具を日々、リサーチするマイクさんの視点、考察が表されている。


道具は3つのベーシックな形、「Stick (棒)」「Rope (縄)」「Bowl (器)」から成り立っているという。正面は身近な道具を配置。


横の小窓には、エルメスのオブジェを置き、その物が3要素により構成されるさまを手描きメモとともに解説している。


内部の左右、側面にもスケッチと文字が描かれ、ひとつひとつ覗きこんで、マイクさんのマニアックで洗練された表現をじっくり堪能することができる。


エルメスを象徴するオレンジに次いで、最近の製品に採用されることの多いターコイズカラーの背景が上品。


メモで使用しているのはポスタルコの定番ノート。ハードカバーの色は統一されていて、その色の選択もマイクさんのセンス。青と緑のニュアンス、色調が美しく味わい深い。


すべてマイクさんに展示が委ねられたという。


いつも素晴らしいクオリティとセンスのよさで魅せられるメゾン・エルメスの窓。今回は自分の知りうる限り、過去最上の見ごたえがある。あと2~3回は観に行かなくちゃ!

LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH. f/1.4

2017年5月24日水曜日

続々・銀座の麺


いくら麺好きでも、連日の昼食に、こってりした麺が続くと胸焼けします。反動で、身体にやさしい一杯をいただきたくなりました。そこで、住所は銀座だけど、限りなく新橋に近い路地裏の「太常」へ。老舗八百屋さんが営むうどん店。昼は周辺の会社員で満席。


基本のうどんを頼んで、カウンター上に並ぶ新鮮野菜の揚げ物をトッピングで選ぶスタイル。とても惹かれましたが、この日はシンプルにアボガドうどん、700円。趣味のよいジャズがかかる店内奥でひとりご飯。戸を開け放った土間空間は風がよく通り、居心地いい。金曜の夜はジャズライブを催すこともあるらしいから、お酒と野菜中心の肴、締めのうどんというパターンでまた再訪しよう。

LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH. f/1.4


2017年5月23日火曜日

物好き


美しいものとは何か。依頼された原稿をもとに、物を感得する道を拓いてくださった恩師との日々を振り返る。9年前、松本民藝家具のデザイナー、故・荻原小太郎さん(当時92歳)の家を案内してくださったときの写真を懐かしく見直しました。


創始者・池田三四郎さんが蒐集した、英国やスペインなど西洋の家具を参考に、モダンな洋式家具をデザインされていた萩原さん。松本の自邸には、日本のものにとらわれない、けれど民藝的な美意識が通貫された物が集められていました。


プリミティブなものの美が引きだされている。対角線上に物を置き、両者をむすぶ中心点に主格の物を据える。柳宗悦が日本民藝館の展示を委ねた鈴木繁男さんの物を美しく見せる展示原則であり、恩師が学んだこと。


民藝人は物が好きで仕方がない人。半世紀ほど前は、そういう物好きで、美を感得する能力が極めて高い先輩方がたくさんおられた。今は、どうだろうか。





このときに見た、李朝の飴壺とやちむんの大きな蓋物。こんな写真を撮ったことも、物が置かれていたことも失念したけれど、無意識のうちに物の佇まいを目が覚えたのかもしれない。後日、いずれも手に入れることになる。蓋物は金城次郎さん作だろうか。つまみのやわらかな造形、文様の自由さは次郎さん以外には生み出せない。



静寂の安らぎ。鎮まる心。感得の到達点を観た想いがします。


チベットの仏具だろうか。









もてなしの器。無地で簡素なもので統一されていた。すべてに共感できるかは別にして、自分の「好き」は何か、明確に伝わってくる。


いちばん目と心を奪われたのは窓辺の吹きガラス群、その見せかた。光を透過すると、この工藝品はもっとも劇的な輝きで魅せる。それにしても、かたちと色の組み合わせの妙といったら! よく見ると展示ルールにのっとり、アクセントになる赤の射し色など、萩原さんの意識がちりばめられている。それが押しつけがましくなく、自然と目に心地よさをもたらすのだから、たまらない。こんなふうに物、色、かたちを選び、並べられる日が自分にも到来するのだろうか。遥かかなたの高みを今は見上げるだけ。


呆気にとられた庭の軽妙な敷石。京都の禅寺のものよりはるかに魅力的な配置と石選び。素朴にして温かみがある。うまく説明できないけれど、松本の民藝人流の洒落だと感じた。そして、このエクステリア術はすぐに真似しました。近所のビーチで打ち上がった1個100kg近い佐島石をいくつも運び、小さな前庭に埋めたのです。しかし、凡人の悲しさ。重労働に満ちたりて、単なる作業に終わる。萩原さんの洒脱さには当然ながら及ばない。丸石や小さな石を自由に取り入れ、もっと遊んでみようと写真アーカイブを見て思う。

90歳を過ぎても物が好きという情念を絶やさなかった。絶やさないでいられた。先達の嗜好と想いに、元気をもらえて、多くを学んだ。その機会を与えてくれた恩師に深謝。

LEICA M8 , ELMARIT28mm 4th edition f/2.8
Macro Elmar90mm f/4

2017年5月22日月曜日

ビーチアートは続く


竹や枝がサークル状にまとまって打ち上がっている。これほどの密な塊で海上を浮遊する物が1箇所に集まる時は伊豆大島から相模湾内に分岐して流れる黒潮の気配を感じます。日々、黒潮分岐流のルートは変化するけれど、ここ数日はこのビーチそばを流れているのでしょう。川のような強い流れで漂流する同じ質量のものを束ねて運ぶ。その中にははるか南方の島々に自生する植物の種子などビーチコーマーにとってのお宝がひそんでいる率が高い。しかし、そんなサインは夜半の風の作用で、翌朝には消えてしまいます。


そんな漂流木片をアートに仕立てる人がいる。G.W.中に毎年出現する人に違いない。


そのへんにあるものを選び、そっと置く。まるで利休のような眼の動き。ミニマルな美の意識に惹かれます。この表現も翌朝には幻のように無くなっていました。

LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH. f/1.4


2017年5月21日日曜日

夏日の吉報


湿度が幾分抑えられた梅雨前の休日。初夏の日差しが相まって、日没が目前の斜光タイムは劇的な雰囲気に。北米西海岸は年中、こんな光と空気感なのだろうか。土間で餃子の下ごしらえをする妻。彼女の餃子は具も焼き加減も絶妙。世界一好きな餃子なのです。


至福の家ごはんを前に、海辺のリゾート感に包まれた町へ買い出し。スクーターで受ける風が爽快。近所の「大門商店」で缶ビールを買い、ついでに日本酒の保冷庫を覗くと、なんと2種のにごり酒をストック。好評な声に応えて、冬のみならず、春夏も定番で扱うことにしたのだそうです。にごり酒ファンの自分としては歓喜。夏の愉しみが増えました。

LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH.


2017年5月20日土曜日

続・銀座の麺


わけあって、連日、昼はSOBAスタンドでお腹を満たす。銀座で手軽なそばといえば、歌舞伎座裏の歌舞伎そばをはずすわけにはいきません。


間口の狭い店ですが、通路幅があんばいよく、いかにも江戸的な一軒。妙齢な女性店員の仕事姿、猪口、コップ、調味料容器も小粋。撮っていいですか?と尋ねると「あら、もっときれいに盛ればよかったー」なんて台詞がさらりと出ます。いただいたのは「もりかき揚げ」470円。案外ボリュームあって満腹。この満足度から昼どきは同世代の会社員が列をなします。カメラをISO感度400に上げても、手持ちスナップではスローシャッターを余儀なくされる。絞りを開けざるを得ないから、ピントの浅い写真に。SOBAスタンド内はおおむね照度が低い。適度なほの暗さは安らぎますが、スナップに関しては暗所に強く、まんべんなくピントが合うiPhoneに頼った方がよいのかな。でも、それじゃ味気ないしなぁ。

LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH.


2017年5月19日金曜日

銀座の麺


わけあって、銀座で気軽に食べられる、そば、うどんを調査・記録していくことにしました。基本はスタンド式店舗で、500円以内の値段。いくつか訪問候補を挙げましたが、個人的な嗜好にもとづき、まっさきに向かったのは「よもだそば」。銀座店はアップルストアそば(洒落じゃありません)、松屋通りと並木通りが交差するあたりに立地。初訪問の人はたぶん、こんな佳い場所に!と驚きます。いただいたのは、本格的なインドカレーを素地にするカレーうどん、490円。ふだんは、そばを選択するのですが、この日はうどんに。とてもおいしゅうございました。ただ、自分の好みでは、ここのカレーにはそばが合うように思います。メニューのチョイス、組み合わせで、がらりと味の印象が変わるのが、この繁盛店の特徴かもしれません。

LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH.