2016年8月26日金曜日

築地のかき氷



そういえば、この夏、東京でかき氷を口にしていなかったなぁと、友人・知人の情報をもとにおいしい逸品をリサーチ。食べてみたいと気に留めたのは、自分には非日常的すぎる値段。ところが、灯台元くらし。仕事場から歩いてすぐの場所で、フルーツの老舗が供する税込500円の上物をテイクアウトできることを知り歓喜。銀座千疋屋・築地店へ昼休みに向かいました。フルーツかき氷はマンゴーの果汁と果肉がたっぷり。さすがのクオリティに一流店のプライドを感じます。本当は存在を誰にも教えたくない驚きの発見でした。

LEICA M-E , MACRO ELMAR90mm/f4



2016年8月25日木曜日

窓の花



20数年前、葉山に移住したてのころ、センスのよい地元の人に教えてもらった雑貨店がありました。海辺の住宅でひっそりと営まれる一軒。平穏無事な美しい日用品やアフリカの布など並ぶのは女性店主の洗練を映し出すものばかり。さすが洒脱な地域と感心。そんな街での暮らしがはじまることに心躍ったものです。店を畳んだ後も窓に飾られ続ける花の景色が往時の記憶を忍ばせ、嬉しくもあり、せつなくもあり。店をしていた時「変わった花があって、おもしろい花屋なのよ」と飄々と店主が褒めていた逗子「Dande Lion」のフラワーコーディネイトなのかな。大胆にしてアーティスティック。こんなディスプレイ、銀座の一流店でも見たことがない。まるでパリの街角みたい。スポットライトで独特の雰囲気が柔らかく浮かび上がるさまを、ときどき東京から家に帰る途中で眺めては心安らぎつつ、移住当時の高揚感を述懐しています。

LEICA M-E , SUMMILUX50mm/f1.4 ASPH.


2016年8月24日水曜日

アップルパイのある朝



アップルパイが朝のテーブルにある、ときめきの情景。前日に、芦名のベーカリーで買っておいたものを翌朝の楽しみにと手をつけないでいた。大好物を前に、そんな我慢はなかなかできない自分だから目覚めたときの嬉しさといったら。濃いめに淹れたコーヒーとともにカジュアルなおいしさを味わい、たまには我慢もたいせつと、もろもろの気持ちがリセットされたお盆明けの朝に思いました。

LEICA M-E , MACRO-ELMAR90mm/f4


2016年8月23日火曜日

夏の暮色



お盆休みのさなか、深い藍色に染まりゆく日没どき、部屋の灯りをほのかな間接光のみにしてNHKザ・プレミアムの映像を愉しみました。もう何度観たか忘れた、京都文化を伝えるドキュメンタリー




登場する雅なものすべてに惹かれるわけではないけれど、町家や古い木造家屋、老舗旅館のしつらいなどの風情には強く惹かれます。民藝の視点からすると、工藝的には観るべきものがひとつもないと嘆いていた美の恩師も旅の途中、京都に立ち寄る夜に綴った言葉には心の高揚がにじみ出ていた。ほかにはない京都特有の空間感と情趣に触れ、ふわふわと陶然とした気持ちになって、外を見れば、隣家や裏山のシルエットが幻想的に浮かび上がります。葉山もいいところだなぁ。




都会地と違って陽が沈むと、家の周囲がたちまち漆黒の闇に支配される地域。その暗さを愛でたいから、居間でくつろぐときには手元だけほんのり照らし、室内の多くが闇で占められます。たとえばこんな小さな灯り。長崎県佐世保の竹細工職人、野田利治さんが美の恩師の依頼で制作したランプシェイドに使える竹カゴ。米のりで貼り付けた和紙越しにやわらかな光で部屋のごく一部を照らします。隅々まで明るく照らす蛍光灯やLED光をスタンダードな照明として馴染んでいる人には、ぼくの家のまわりと室内空間は暗すぎるでしょう。「怖い」と言った親戚もいました。その暗さに安らぎを覚える自分の感覚は理解されにくいかもしれないけれど、自身ではとても満足しています。

LEICA M-E , MACRO-ELMAR90mm/f4

2016年8月22日月曜日

パタゴニアのバギー・ショーツ



パタゴニアの定番商品として売られ続けているバギー・ショーツを5着持っています。いずれも1990年代に購入したもの。南北の太平洋、南シナ海、インド洋、バリ海、紅海など世界中の海を取材する旅で身に付けてきました。さまざまな海水に浸り、色はだいぶ褪せてきましたが、まだ補修の必要もなく、履くことができます。20年、30年以上履いているユーザーも少なくない生地や縫製の頑丈さ、普遍的なデザインと機能性がパタゴニアのものづくりを具現化しているようです。




このショーツの存在を知ったのは1990年に発行された「シー・カヤッキング・イン・ジャパン」(CBSソニー出版)にて。著者である海洋ジャーナリスト、シーカヤッカーの内田正洋さんがシーカヤックによる遠征旅や横須賀秋谷のビーチサイドでの暮らしで愛用し、厚い信用を寄せる道具(エクイップメント)を選び、洞察の深いテキストとともに紹介する項目がありました。ウエアに関してはパタゴニア製品が選択のなかに多く選ばれ、内田さんの活動とライフスタイル、格好よさ、物選びの確かな眼に魅せられていたぼくは、真似して同社製品を求めるようになったのでした。内田さんが海や島、日本の海岸線と外洋をめぐる旅だけでなく、一年中365日履いているというのが、このバギー・ショーツ。海でのアクティビティはもちろん、ランニングやクライミング、あらゆるスポーツに対応し、ふだん着としても使える万能ショーツであるとは頭ではわかっていたものの、内田さんのように毎日常用するほどには、この夏を迎えるまでいたっていませんでした。

スキューバダイビングやシーカヤックの雑誌・書籍づくりの仕事、あるいは趣味から離れるようになるとバギー・ショーツを履く機会は激減。箪笥に仕舞ったままになっていたショーツを盛夏の蒸し暑い日にたまたま取り出して履いたところ、あまりの心地よさに驚きました。スロージョギング効果でスリムになった体型にはすこしサイズが緩くなったものの、そのゆったりとした裁断が空気の通りをよくしてじつに涼しいのです。改めてこの製品の高い機能性に惚れ直し、家では肌身離せないウエアとなりました。また、スロージョギングでも専用に開発された肌に密着するショーツではなく、このごろはむしろ家で履いていたバギー・ショーツでそのまま走りに行くように。腰まわりのフィット感が緩く、ときどき紐を結び直す面倒はありますが、風の通りが抜群で、ぼくのようにゆっくりとしたペースでの移動ではまことに具合がよいのです。5着もあるので買い足す必要はなく、たぶん生涯、自分が愛着していくだろうなと、ますますパタゴニアへの情愛を深める夏となりました。

LEICA M-E , MACRO-ELMAR90mm/f4


2016年8月21日日曜日

GLENROYALのキーリング


先日、旅する骨董商「KIHACHI」のハヤミズさんに譲ってもらったチベット文化圏のターコイズを持ち歩くのに、うってつけのキーリングを見つけました。ブライドルレザー(牛革をナチュラル・タンニングでなめし、蝋を塗りこむ伝統製法の素材)製品を職人がハンドメイドするスコットランド「グレンロイヤル」の「スポランキーリング」です。



この製品はスコットランドの伝統衣装に付ける小物入れ「スポラン」をモチーフにしたもの。500円硬貨が2枚入るポケットがあり、ここに石を収めることができるのではと想像したときの心のときめきといったら・・・。そして、グレンロイヤル製品を輸入・販売する渡辺産業の直営店を実際に訪ね、試させてもらい、すっぽり包みこむように収納できることを確認できた瞬間の嬉しさといったら! 


このブライドルレザーは使いこむにつれ、色が濃くなり、艶を増し、傷など日常使いの痕跡も含めてまろやかに味わいを深めていくのが魅力。左は同社の「スライディング・ウォレット」を4年ほど使用した状態。購入当時は存在していた「マリーン」という上品なブルーの円熟が進み、現行品の「ダークブルー」に似た渋い色合いに。水に濡らさず、直射日光や強い人工照明に長時間さらさず、できるだけ触れて手の脂を馴染ませていくと、よい色に育っていくようです。店のスタッフの方に頼むと、自身で使いこまれた愛用品のエイジングによる色の変化を見せてくれました。商品説明も製品へのリアルな愛情が背景にあるから説得力が違う。こんなスタッフが控える店で長く使い続けられるものを買いたいな。ぼくは青と緑が混じるターコイズというエイジング効果が顕著に表れやすい明るい色を選択。店で目にしたエイジング例では、表面はグリーンが、縁の部分はブルーが鮮やかに浮き出て、そのコントラストに魅せられました。さて、自分の使い方ではどんな色に育っていくのか楽しみ。いずれは変化を報告したいと思います。

LEICA M-E , MACRO-ELMAR90mm/f4

2016年8月20日土曜日

セヴィルロウの眼鏡



購入したのは20年ほど前、原宿の「オプティシャン・ロイド」にて。近視が強い自分の眼に合うものを、フレームのクオリティをふくめて選ぼうとすると、当時は驚くほど高額に。それでも、レンズは消耗品と考えながらも、ずっと飽きずに長く愛用できるフレームには妥協したくはないと背伸びして求めました。金に銅や銀を混ぜて成形した18Kのクラシカルなフレームは緑青が出るほど使いこんでもいまだ現役。自分の選択は間違っていなかったようです。背広の語源ともなったといわれる、老舗のテイラーをはじめ一流店が並ぶロンドンのストリート、セヴィルロウをブランド名に掲げるアルガワークスの定番製品。クラシック・コレクションのラインナップとしてぼくの「The Panto」(レンズを薄くできる最小径のサイズ39)は当たり前のように、つくられ続けています。独自製法により抜群のしなやかな強度を誇り、深酔いで地面に倒れ、フレームがねじ曲がってしまったときも、見事、もとのかたちに修復できました。世界中の海をともに旅してきたこの眼鏡をさらにさまざまな場面で使っていきたいと、政治混乱でポンドの価値が下がったタイミングをはかり、クリップ装着タイプのサングラスフレーム「The Panto Sunclip」をロンドンの工房にオーダーしました。




ずっと変わらぬ姿勢で、かたくなに基本の造形をつくり続ける英国の精神に敬意を払いたくなります。しかし、制作にあたりフレームの径と眼と眼の間のサイズを職人が問い合わせてくる緻密さがありながら、微妙にズレが生じているのはご愛嬌。MADE IN ENGLANDを盲目的に信奉するのではなく、精度のアバウトさを大らかに受け止めなくてはいけません。




かなりしっかりとドッキングします。はじめは装着法にとまどいますが、慣れるとスムーズに着脱できるようになります。このスムーズさを生むアバウトな余地加減も日本製品にはないよさではないかとポジティブに考えます。濃いオレンジブラウンに彩られたレンズ。装着して、いつものジョギングコースを走ると、見慣れた風景がアンバー一一色の劇的なものへと変化。その非日常感が新鮮で、走りに行くのが以前にもまして楽しくなりました。

LEICA M-E , MACRO-ELMAR90mm/f4
SIGMA DP3 MERRILL