2017年10月21日土曜日

ほのかに照らす


築地で’いちにちじゅう蛍光灯の青白い光を浴びて仕事し、葉山の家に帰ると、温かな色合いの、ほのかな灯りを自然と欲してしまう。昔ながらの白色電球のオレンジ色。その色を完璧に再現するLED電球にいまだ出合えず、食事の場など明るさが必要な場所はLED 電球色を採用しつつ、くつろぎの空間では『エジソンバルブ』をまだ併用している。


壁には竹かごのシェイドをかぶせた小さな白色電球を配している。このぼんわりと夢みるようにおぼろげではかない光に心がやすらぐ。竹かごをランプシェイドに活用するアイデアは故・久野恵一さんから教わった。故・柳宗理さんも四ツ谷のアトリエで中国の竹かごをランプシェイドにしていたと聞くが、宗理さんは恵一さんの家でその着想を目にして真似たらしい。精巧に編み組みされた日本の職人のものではなく、雲南のものだろうか、ざっくりとおおらかに編まれた中国のかごを選ぶところが、いかにも宗理さんらしい。

LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH. f/1.4

2017年10月20日金曜日

ときどき、たまらなく寄りたくなるコメダ珈琲


先週末、鎌倉「もやい工藝」へは雨が降っていたこともあって、珍しく電気自動車LEAFで出かけた。修繕されたカゴを受け取り、沖縄や小石原の小さな皿をいくつか求め、店を出たのは昼過ぎ。車で週末の鎌倉にアクセスした場合、待たずに席について素早くランチを、という希望条件でソートすると店の選択肢はかなり限られてくる。もやい工藝のある佐助エリアからスムーズな移動を考えると深沢のコメダ珈琲くらいしか思い浮かばない。


大食は老化を助長するなんていわれているけれど、食べれるうちは食べたいものを躊躇なく口にするのだ。ボリューミィな『みそカツサンド』は中毒性が高いスナックメニュー。ときどきたまらなく食べたくなっちゃう。調子にのって、ソフトクリームが頼もしくそびえ立つ『クリームコーヒー』も頼んじゃった。テーブルに運ばれてきた時点で、アイスコーヒーがグラスからこぼれてるぅぅ。テンションあがるなぁ。

LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH. f/1.4




2017年10月19日木曜日

インテリアの勉強


好きなものを生活空間にどう飾り愛でるか。インテリアのヒントを得ようと鎌倉「もやい工藝」にときどき足を運ぶ。いかに物を魅力的に観てもらうか心を砕いた展示には、訪ねるたびに学びと刺激がある。この日は秋田・星耕硝子の小さなワイングラス、その佇まいに惹かれた。透過光で輝く手吹きガラスのやわらかな美しさ。たまらなく魅力的である。小谷真三ガラスを写したかたち。伊藤さん特有のきりっと澄んだ透明感はそのままに、造形が真三スタイルそのものに、どんどん近づいている気がする。


外国人客の増加に合わせて洋式に改装したトイレを借りる。久野恵一さんがサイドライトのシェイドをはずし、竹かごを掛けていた。長崎県佐世保の工人・野田利治さんがつくったものだろうか。このアイデアを以前うかがったとき、佳いなぁと憧れ、自邸では和紙を内面に貼って間接照明として愉しんでいる。僕のように大げさではなく、ささっと軽やかにしつらう、恵一さんの心の軽妙さに羨望する。


もやい工藝は一年中、季節の植物を工藝品と一緒に飾っている。これはお客さんからいただいたというオキナワスズメウリ。蔓性の植物が壁から垂れ下がる景色は野にあるように自然でさりげなく、すっと空間に溶けこんでいる。今の自分にはこういうふうに草花をコーディネイトをする洗練のセンスがない。できないことだから、いつかできるようになりたいと、店を訪ねるたびに眼にやきつけている。

LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH. f/1.4


2017年10月18日水曜日

カゴ・メン2


もやい工藝を通じて修繕を依頼していた沢グルミ樹皮のコンテナカゴが戻ってきた。最初の発注時、常用レンズを装着したデジタルライカ とchahatオリジナル弁当箱が寸分の隙間なく収まるようにサイズを指定。移動中に揺れ動くと困る日用品を安心して運べるよう特注をお願いした。これらと本、小物を入れるとそれなりの重量になるため、重さが体感的に軽減されるよう武骨な短いハンドルを沢グルミで付けてもらった。ところがこの素材、強靭だが柔軟性はない。そのためバイクのボックスにハンドルを強引に曲げるようにして収納しているうちに裂けてしまった。自分の詰めの甘さ、思慮の欠落を悔いつつ、もやい工藝店主・久野民樹さんに相談。編み手の秋田・角館、佐藤智香さんに改良案を考えてもらい、山ブドウの皮なら可動式のハンドルがつくれると提案され、修繕を頼んだ。


早速、第2世代のコンテナカゴを通勤に使う。精密機械のカメラと、汁をこぼしたくない弁当箱を運搬するには、やっぱりこれじゃないと駄目なのだ。ハンドルが畳めるから使い勝手はさらに向上。バイクのボックスもスムーズに収まるし、仕事場の引き出しにも仕舞えて床に直置きしなくてもよくなった。修繕してずっと愛用していきたいと思うのは、手仕事良品ならでは。使いこむにつれ、風合いはどんどん佳くなっていくのも悦びだ。この二重式のリングでハンドルを留める仕様は強度が高まるものの、制作に手間がかかり、職人ががなかなかやりたがらない。恩師・久野恵一さんは30年以上前、秋田・横手の中川原信一さんの父親で、技術がきわめて高い工人・十郎さんに自分用のアケビ蔓・手提げカゴを注文する際、この二重リング式を無理いって頼んでいた。その逸品については『民藝の教科書④かごとざる』(グラフィック社)参照を。


もやい工藝に受け取りに行ったとき、偶然、友人Tさんとばったり。彼もカゴの愛用者。中川原信一さんのカゴの大ぶりなフォルムがユーザーの風情にマッチ。男だって気軽にカゴを常用していきたいと考える同志なのだ。


骨董市で見つけたというアクセサリーをハンドルにぶら下げている。この赤いワンポイントがとてもいい感じ。真似しよう。

LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH. f/1.4
SIGMA DP3 MERRILL 75mm f/2.8

2017年10月17日火曜日

GOLDEN BAGAN


タイとの国境近くに暮らすミャンマーのシェン族。豆や発酵食品を主にする、彼らの伝統食を日本人向けにアレンジしたサイさんの料理が大好きだ。先日ランチでいただいたカバオライスはタイにもある料理だがココナッツと辛さを控えめ、野菜多めにしている。根源的に日本人の味覚に響き合う美味しい調和、優しい味わい。サイさんの誠実とセンスに感服。今週はサイさんの料理をいくつか取材させてもらうことになった。こんな幸せな仕事ができることを心から悦びたい。

新宿富久町「ゴールデン・バガン」にて

LEICA M-E , MACRO ELMAR90mm f/4



2017年10月16日月曜日

ミステリーランチでグラスを運ぶ


米軍にバックパックを納めている北米ボーズマンのミステリーランチ。アクセサリーである『フリップトップボックス』は愛用カメラ・シグマDP3メリル専用かと思えるくらいぴったりと収納できる。と、以前書いたけれど、このミリタリー仕様の小さなパックはグラスを運ぶのにも重宝している。イランのワイングラスは小ぶりな大きさで、このパックにジャストフィットすることを青山「グランピエ」で確かめてから購入した。内面には厚いパッドが埋めこまれていて、細部の縫製もさすがのクオリティ。ミルスペックのバックパックは気軽に手を出せない価格だけど、これは5,000円。かなりのお値打ちではないだろうか。活躍の幅広さから、ここ数年で買ってよかった物の最上位にランキングしたい。

SIGMA DP3 MERRILL 75mm f/2.8

2017年10月15日日曜日

寅さんの雪駄


毎週土曜夕方から放映されているBSジャパンの『男はつらいよ』シリーズ。柴又を訪ねたあと改めて観ると映画への没入感がすごい。京成柴又駅、だんご屋のある参道、帝釈天。映像の細部に見入ってしまう。自分の眼で観た現場、歩いて体感した町全体のスケール。体に残る感覚・記憶との共通点を探し見つけながらの鑑賞がたまらなく愉しい。これから全話を見直してみたいし、何度観ても新たな発見がある山田洋次監督の創作に敬服。

先日の取材では寅さんが履いていた雪駄の話も聞いた。ニシキヘビの鼻緒の雪駄を季節を問わず履いていた。雪駄は雪の上を歩くために生まれた履物。裏になめし革を貼り、金属の鋲を留め、長持ちする工夫を凝らしている。簡素なかたちと高い機能。寅さんの旅を支える重要な道具になっていることもあり、このシューズが欲しくなってしまった。


寅さん記念館」の入り口には、看板を掛けようとした寅さんが落とした右足の雪駄が置かれている。左足の雪駄は落とさなかったことから、駅前に設置された銅像の左足の雪駄を撫でると試験に「落ちない」という都市伝説が生まれた。


雪駄は小さいサイズを履き、かかとを雪駄からはみ出させるのが粋だとしていた寅さん。こんな細かなキャラクター設定もマニア心をくすぐる。監督の映像の造りこみも、映画に普遍性を与える秘密なのだろう。寅さんの洒落心も真似てみたい。

LEICA M-E , ELMARIT28mm 4th EDITION f/2.8
SUMMILUX50mm ASPH. f/1.4